the Straight Story

いつものように何気なくスカパーを見ていると、タイトルだけ知っている映画が始まりました。
そろそろ夕飯の時間だし見ないでおこう、と思ったのに、結局最後まで見てしまった不思議な映画は、デヴィット・リンチ監督の作品「the Straight Story」です。


この映画は、その名の通り、とぉっても真っ直ぐな物語。
頑固なおじいちゃんが、病で倒れた弟に会いに行く過程を淡々と描くロードストーリーなのです。
喧嘩して没交渉になった弟と昔のように仲良く星空を眺めたい、と思ってひたすら進むおじいちゃん。
でも車の免許もないし、目も悪いしで、時速8km(!)の超ポンコツのトラクターに乗っていきます。
アメリカの道路交通法とかって良くわかんないけど、そんなので車道走っていいの??って心配になるくらいのポンコツノロノロさ加減です。


最初はあまりにゆっくり映画が進むので、ちょっとじれったいと思ってしまいました。
そして、そんな私って心に余裕がないのかしら、とか思ってしまったり・・・
でも物語が進むにつれ、シンプルでありながら味のある映画の世界にすっかり引き込まれてしまいました。
何の事件も起きない、美女も現れない、ただひたすらトラクターが進み、普通のいい人たちと出会い、ちょっとずつ交流していくだけのお話。
台詞も決して多くないのに、おじいちゃんのポツリポツリとした語りが、さすがの含蓄といった感じで心に残ります。
ラストはシンプルでありながら、しんみり。
後味がよかったです。
味わいある、大人向きの映画です。


そんないい映画なのに、見終わったあと「おじいちゃんは帰りもトラクターに乗って帰ったのだろうか・・・」なんて思ってしまいました。
実話らしいので、かなり気になるところです。